Mosir Artworks(モシリ・アートワークス)

イタリア川歩き Ep.1 / Milano

更新:2024/08/22

食・芸術・ファッションの都として名高い、イタリア第3の都市・ミラノ。

すぐそこに佇むアルプス山脈帯を目指す旅の前段として、華やかな街をひとり歩きする。

盆に Italy

Solo Trip

お盆休みである。

友達とハンガリーで過ごす約束をしていた Indipendent な彼女とは裏腹に、私はこの休みをどう過ごすかを直前まで悩んでいた。

散々悩んだ挙句、アルプス山脈帯のフィッシング情報をググりはじめた。

オーストリア、フランス、スロベニア、etc…

候補地について一気にガーっと調べたあと、お気に入りの航空券検索サイト lowcost.pro をわーっと舐め回す。
たまたま出ていたミラノ行きの格安チケットを入手し、あれよあれよと旅の支度が整った。

8月7日 PM6:30。
オーリオ・アール・セール空港に現着。

直前で当日予約したレンタカーは、「複数サイト経由により、無在庫なのに予約完了されてしまっていた」というレンタル会社のウソみたいなミスにより借りれなかった。
結局、空港内で1時間ほど彷徨った挙句、割高で別の会社から借りることで切り抜けた。

同日 PM 21:30。
久しぶりの左ハンドル・マニュアル運転も難なくこなし、ミラノのモーテルにチェックイン。無事に到着できた達成感からハイになり、真っ暗なミラノの街を少しだけ歩いてみた。

ヨーロッパでは珍しい24時間営業のスーパーに行き、夕食のポキ丼やお菓子を購入。
店の前にいた売春ババアの声かけを振り切り、モーテルに直帰し、すっぽんぽんになりながらメシを頬張り、ミラノの街歩きの計画を練る。

初日から色々あったが、こういう時のごはんの旨さとありがたみは一段と沁みる。
これを味わうために、旅をしているのだろう。

そんな徒労と安堵に包まれながら、4日後に川の水を浄水ガブ飲みして食中毒を発症することも知らないままに、ぐっすり眠りについた。

初動からコケまくったが、モーテルへ向かう道の夕焼けはひどく綺麗だった。
0

持て余る、夏のミラノ

Mote Amaru

8月8日 PM1:30。

午前中で仕事を終わらせ、ミラノの街へ繰り出した。

モーテルから歩いて5分の地下鉄を利用し、中心街 Duomo で降りる。

地上へ続く階段を登っていくと、眩く照らされた Duomo di Milano が突如現れた。

荘厳というほかない、実に美しい光景だった。


そして、観光客でごった返す広場と、鋭い陽光頭頂部を焦がしてくる感覚に耐えられず、3分くらいウロウロして街酔いした。


ここ最近、ひとりで街を観光するという行為が苦手になってきている。

この虚構に満ちた街角で意味があるのは、せいぜい美味いコーヒーくらいなはずなのに。

なぜ、人は人がいるところに集まり、時には行列に並んだり我慢してまで、時間とお金を浪費するのだろう。



そんなカッスい文句を心のなかで延々と吐き捨てながら、人混みを抜けて、避難先として考えていたカフェに向かう。

さて、エスプレッソが美味いらしい、このカフェ。

当然 Google Map 通りに営業はしてなく、おそらく中休みのようだった。

ヨーロッパでは何回か経験してることなので、もはやノーダメージ。



仕方なく、腹ごしらえを兼ねてケバブ屋に入ってみることにした。

マクドという選択肢に屈しなかった自分を褒めちぎりたい。



ぶっといケバブがソッコーでサーブされ、牧場にいるウマとかのようにむさぼる。


嗚呼、ミラノ。

ひとりで歩くにはもったいないくらい、美しくて楽しくて、持て余る場所だ。


ここに彼女と一緒に来ていたのなら。

えーなにその構図いいじゃんオレにも撮らせてーとか、あの建物はあの国のアレに似てるね・似てねぇよとか、ちょっと甘いもんでも食べようーとか。

いつもの感じで楽しめていたのかも。


Independent な選択をした代償をケバブとともに噛み締めて、つぎの目的地に移動することにした。

Reveal Content Image 0
Reveal Content Image 1
Reveal Content Image 2
Reveal Background Image

Garue Fly Fishing Shop

dal 1885

同日 PM 3:30。

イタリアのフライフィッシング事情を探るために、Garue Fly Fishing Shop へ足を運んだ。

中心地のひっそりした路地に店舗を構え、軒先には dal 1885 という文字。

本当であれば140年ちかい歴史を持った老舗ということになる。


整然とした店内は、実質床面積以上のゆとりを感じさせる空間で、厳選されたアイテムが並び、馴染みの多いブランドも多い。

店の奥には、白シャツを第2ボタンまで開け、スキンヘッドにメガネをたたえ、大笑いしながら電話をしている男性が一人いた。

まさしくイタリアンなイケオジは、どうやらこの店のオーナーのようだ。


ウェアなどをぐるっと見て回り、肝心のフライを物色してみる。

木製の棚にはフライの名前が律儀に書かれているが、イタリア語は当然わからないので、引き出しを片っ端から開いていく。

ミッジやテレストリアル系が充実しているが、すでに所持しているものと類似しているため、参考になりそうなパターンを少し観察してパス。


気になったのは、やはりニンフである。

スペインの Hookuna Fly Shop では見なかったタイプのペルディゴンや、かなりリアル志向のストーンフライなど、ユニークなものも多い。

ほとんどがバーブレス仕様という心意気も、個人的には好みである。


直感的に使えそうなパターンを選び、あとはオーナーのおすすめを伺ってみることにした。

Reveal Content Image 0
Reveal Content Image 1
Reveal Background Image

「コンニチワー。日本から遊びに来たんですが、Alto Sarca でいま時期に効くパターンってどんなのですか?」

「おー、日本!いいねいいね。Alto Sarca のベストシーズンはもうアレしちゃってるから、なかなかキツいと思うけど、出るとこでは出るからねー。朝は小さめのテレストリアルとかミッジでやって、日中はニンフ一択だろうねー。したら、こんなんで塩梅良さげかもよ?」

と、本当に気さくな方で、いろいろと教えてもらった。



真夏ということもあり、ニンフに関するトークは特に盛り上がった。

イタリアの代表チームがよく使うペルディゴンパターンや、春先の雪解けがおさまったタイミングで使うバカでかいストーンフライ、死んだテレストリアルを模したパターン、グレイリングによく効くパターン...etc


ひと口にヨーロッパと言っても、地域でこれだけオリジナルのフライやアイディアが生まれるのだから、改めてフライフィッシングという遊びの果てしなさを感じた。

Bella Milano

To be Continued

オーナーのおすすめでいくつかのパターンを追加・厳選して、9本ほどのニンフを購入。

加えて、オマケで Rio のワッペンとステッカーまで頂いてしまった!

これで €15 なのだからヤッピーである✌️


「釣れるといいね、マルブレ : ) 」


マルブレとは、オーナーのイタリア訛りで、アルプス近郊に生息する Marble Trout のこと。

ユニークな柄と、レインボーを彷彿とさせる力強さは、ヨーロッパのアングラーを惹きつけてやまない。

今回、弾丸でイタリア遠征を選んだ理由でもある。



アルプスから戻って、もし時間があったら、またここに寄ろう。

少しだけ後ろ髪をひかれるような思いで、店を後にした。

ミラノに来る理由が1つできて嬉しい。




店を出ると、まだまだ外は暑かった。

モーテルまでの帰りしな、ジェラートを1つ買って食べてみることにした。

€3.5でほっそいコーンに、たっぷり盛られたマンゴー&ストロベリー。

これが悪魔的にうまい。うますぎる。

ミラノに来る理由が2つになり、Independent な旅にも光明が差し込んできた。


(続)